都度記事にはしてませんが、相変わらず好きなのでいろいろ触らせていただいてるパタパタ時計。かれこれ20台…いやもっとかな? 途中まで表にしたりしてたんですが、いつのまにかそれもパス(^^;
そんな中、今回のはちょっと風変わりともいえる一品。(写真は整備完了後の一枚)
なにしろ標題の通りアメリカ製。しかも 60CY とありますから、そこそこ古いものみたい?
…でも、どうもどこかで見たような。
はい正解、(少なくとも中身は)思った通りの日本製でした。
数年ぶりに通電したら動かなくなったとのことでしたが、ちょっと揺すってやったら動き出したので、しばらく様子見することに。
ところが三日目の夜、ふと見てみたらご覧のような状態。うーん、この症状はお伺いしてませんでしたが。
これは中身を見なくては、と時刻合わせのツマミを外そうとしたら…!!
ツマミの相手軸を見てみますと、なぜかニッパのようなもので切られた形跡が。うーん、困りましたねぇ…最初拝見したとき、ツマミ(の直径)が小さいなとは思ってたんですが、何らかの理由で元々ついていたものとは違うものを無理矢理瞬間接着剤でつけていたということのようです。
とりあえず接着剤を除去し、穴を少し手直しして(接着剤なしでも)機能するようにしましたが、ちゃんとしたものにしたいところですね。
それはそうと、こちらに(やっぱりの) COPAL の文字が。向こうで設計製作するよりも、こちらのものを利用する方が安上がりだったんでしょう。お陰で自分的には触りやすくていいです。
ところで不具合の原因の一つは、こちらにありました。
こちらが修正後。
さらにフリップが回らないのは、ここが外れていたからで
正常な位置に戻します。
想像ですが、これらはいずれも例のツマミを何とか取り付けようと押し込みすぎたせいで、軸全体の位置がずれたために起きたものではないでしょうか。
フリップが回らないだけならまだしも(いや、それでも時計として機能しなくなりますが)、右側のギヤが外れるとツマミで逆回転させることができてしまうようになり、最悪はフリップを割ってしまうことになります。そこまで至ってなくて幸いでした。
なんとかオリジナルのツマミをゲットできればいいんですが、画像検索ですら見つけられないので難しいでしょうね。見てくれを気にしなければ合うのはあるでしょうけど、スタイリッシュなこの時計ですから…これもまた無理な相談かな。
残念ながらこのモデルのムーブメントもカシメタイプで分解できませんので、すき間から軽く注油しておきます。
あとは地道に各部の清掃。長年使われてきたんでしょう、たとえばフリップはこんな状態。
深追いして文字そのものを消してしまうといけませんので、そこそこにしておきます。
それと、いつもの通りトラッキング火災防止のおまじない。
この状態で一週間動作確認し、問題ありませんでしたので出荷させていただきましたところ…
開梱直後に症状再発とのご連絡! う〜ん…痛恨の再入荷。
輸送中にズレたのかなぁ…考えにくいんですが、ズレないように軽くペイントロックし、再度連続動作確認を10日間実施。
異常なしを確認後、ツマミ(軸)に力がかからないよう梱包し、改めて出荷させていただきました。
後ろ姿も美しいですねぇ
ただこのモデル、ご覧の通り3方向シースルーなので整備の視点からは逃げがなくて厳しいです(^^; しかも透明部分はアクリルなので、内側についたホコリなどの除去がなかなかに難しい。最終的にフタをする直前に、再度すき間から…なんてなことをするんですが、それでも完全には取り切れず、あるいはどこからかまた現れたりして。
こちらは問題のツマミ。元々どんなのがついてたのかな。
ともあれ、今度こそ無事動作しているとのご連絡をいただけまして、ヤレヤレ一件落着です。
もともとのツマミ
ツマミっていうかローレットの軸だけ出てるような感じでしょうか
http://minimalism-online.blogspot.com/2015/04/howard-miller-flip-clock-arthurumanoff.html?view=mosaic
そうなんですよ、画像を探すと軸しか出てないように見えるものばかりなんですが、それだと回すのはかなり固いはずなんですよね。国内の同タイプ(同メーカ)のものには、直径25mmとかそれ以上のツマミがついてます。
ひょっとしたら昔のゼンマイ式の柱時計みたいに、普段は外しておいて必要なときだけ差し込んで回す付属品のようなもの、があったのかも知れません。