SB-220の修理


 少し前に入荷していましたHeathkitのSB-220、修理が完了しました。例によって「いつでもええから」モードでしたので、ようやくです。

 世界的にはTL-922よりもたくさん出回っていると思いますが、今回のものは、その中でもだいぶ程度の良くない部類だと思います。


 まず外観では、上の写真では清掃後ですが、汚れが目立ちました。あとゴム足がないですね。そして中身ですが、えらいことなってました。


 HVラインのパスコンが見事に吹っ飛んでます。どないしたらこんな事なるんでしょうか。チョークも焼け切れたんでしょう、フェライトビーズなんかでごまかされてます。


 HVメータ用の抵抗も、とんでもないごまかされ方です。危ないなぁー、クリスマスツリーやないんですから(^^;


 パスコンと二次チョークはこんな感じにしてみました。

 ちなみにこのコンデンサ、新品で10本2000円!安ぅないですか?


 HVメータ用抵抗ですが、1Wの4.7MΩが入手できませんでしたので、やむなく1/2Wのものを使いました。計算上は問題ないので、少しでも放熱するようにと基板から少し浮かせてます。

 これだけダメージがあると真っ先に心配するメータですが、単体でチェックしてみたところ幸い断線・焼損はないようでした。


 まずはタマを抜いて、200V配線で100Vを加えて各部チェック。問題なさそうなので200Vを入れてみると、右手の方でパチパチッという音とともにうっすらと煙が…慌てて電源を切り、HVが0になった(なるのがちょっと早いように感じたけど)のを確かめていろいろ調べていると、ケミコンブロックのここの部分をテスタ棒でつついたら「バチッ!」 おぉ〜コワ〜、HVメータ振ってへんのになぁ。


 よく見てみたら、こんな事なってました。しっかり放電さして撮影したのがこれです。そうか、ケースを開けてインターロックの銅バーが接地した瞬間、小さくバチっていうたんも、これが原因やったんやな。というか、そもそもパスコンが飛んだりHVメータラインが飛んだりしたのも、これが原因やったんかも。

 早速しつこいぐらいにしっかりハンダ上げし、他のケミコンの端子もすべて再確認しました。


 そして改めて通電、CWモードでのHVです。


 こちらはSSBモードでのHV。このまま30分ほど通電してみましたが、各部に異常はありませんでしたので、いよいよタマをさしてのテストです。


 このようにタマがよく見えるのはいいのですが、ファンの風が押し込み方向ですので、全体がぬくくなって、熱風がフロントパネルをぬくめつつ上に出てきます。当時(旧FCC基準)はこれでも良かったんかなぁ?


 ドライブ時のIpとIg(SSB)です。ちなみにEpは2500Vを指してました。

BAND [MHz]Out [W]
3.5950
71050
10950 (14位置)
141000
18640 (21位置)
21820
24.5900 (28位置)
28800

 上記はいずれもTS-690で、内蔵チューナを使わずに100Wドライブしたときのものです。入力SWRは悪くても1.7以下でしたが、18だけはプレートチョークのホールにかかりかけなんかも知れませんね。←どこで共振するんか調べてません(^^;; 注視してたんですが、二次チョークからの発煙なんかはありませんでした。

 小生が触らせていただいたSB-220はこれで3台目ですが、これは一番程度が良くありませんでした。おまけにファンの回転が少し遅いようで、連続送信したりすると心許ない感じです。でも、一分間フルパワーとかぐらいでは何ら問題はありませんでした。あとはアンテナをつないでどうなるかですが、そこはユーザさんに引き継いでいただくことにします。

 このSB-220というモデルは、小生的にはケースの構造が気に入りません。筒状のカバーを前あるいは後ろから通す形でしめくくりなんですが、何度か手のひらを挟んでしまいました。軽い筐体ならこの構造もありでしょうけど、なんぼアルミいうてもそこそこの重さありますもんねぇ。そこらは922に軍配が上がりますね。あと1.8のないところが減点です。でも、それと冷却システム以外は気に入らんところは見あたらず、SB-2000なんかとは比較にならんくらい安心して使えそうです。さすがに世界中で愛用されるわけですわ。

コメント(24)

確かにケースの開閉はじゃまくさい。でも、中へは手が入れやすかったのでは?
ウチにも一台昔ありましたが、人に譲ってしまいました。
(7年ほど前の話だったかも)

おぉっと、じぇさんとこにも存在してたことがありましたか! そうですね、筒っぽ以外は確かにやりやすい方ですね。922よりだいぶ軽いですし。

 あと書き忘れですが、プレートVCにバーニアが入ってないので、特にハイバンドではチューンがクリチカルですね。この点も922に軍配が上がるかな。このツマミは指で回すと言うより、手でぐっと握って手首で微調整する形が楽です。

修理ご苦労さまです。いつもながら結果をうまくまとめておられますね。
平滑コンデンサが時々働かないってことは、B電源が脈流のまま印加されていたと言うことですね。電源投入時のサージ電圧も吸収できないし、おー怖。

私は、どうもキットもんは苦手なので手を出しません。
(丁寧に組んでくれたモノならいいのですが、雑なのは全部やり変えたくなるからです。)

おっさんさん、ALL JAの合間にご覧いただいているのかな?(^^) 確かにキットものはそういうのがありますねぇ。Heathkitでしたら小生的にはあまり気になりませんが、今回のものは電源まわりの配線の取り回しもあまり良くないので、徹底的にという思いが頭をよぎったことも事実であります。数秒後、目をつぶってフタをしたわけですが…高圧部・高周波部でなければ良しとしております(^^; 922のとこでも書きましたけど、メーカ製でもええ加減なんはいっぱいありますねぇ。。。

実はウチにもあったんです。
確かにプレートの同調は取りにくかった。
クイックQSYはかなり修行が必要かもしれません。

#某922みたいに印を書いた紙を挟んで・・というのが難しいでしょうね。

そうですねー、でもまぁその気になれば、フロントパネルを加工してバーニアダイアルを組み込むって手もあるかな。うん、次の機会があったら、それ考えてみよう。

拝見いたしました、当方にもSB-220有るのですがバイアス電流が200V使用ですとSSB300mA 230V使用500mA流れていますが、これは正常でしょうかそれとも異常なのでしょうか。尚IP計は壊れたため1000mAを取り付けています 宜しくアドバイスお願いします。

JA4EZPあだちさん初めまして、ようこそおいで下さいました。

 メータを交換なさっているとのことですが、直列(R2)・並列(R1)に入っている抵抗は元のままなのでしょうか。それとEpは200/230Vそれぞれでどれくらいでしょうか。またその時タマの表情はどんな感じでしょうか。

宜しくお願いします、抵抗はそのままです又200VではSSBで 2900V IP 0.3A CWで 2400V IP 0.22Aです
現在200V接続ですので230Vは大まかな記憶です
SSB 3200V位ですCW 2700V位ですIPについては正確にSSB0.5A CW0.4Aでした玉の状態は200Vでは暗くファーン音も静かですが230Vではかなり明るくファーンの音も大きいです。電力はTS-830通状動作で600Wぐらいに対して1KWで発熱量もかなりのものですから、たぶんプレートが赤くなっていたと思います。それ以後ツエナーの故障??原因がわからないため200Vでたまに動作させています

安達さん、先ほどはひらがなで失礼いたしました。小生昔からコールサインで呼ばせていただくことに抵抗があるものですから、どうしてもお名前で書かせていただきたくあのようにさせていただいた次第です。

 さてお話の件ですが、本当に2900Vで0.3Aも流れていれば、一本あたり435Wが熱になっているはずですからそれなりにプレートが赤くなるはずですね。明るい・暗いはタマのヒダ部分(プレート)ではなく下の方(フィラメント)のことだと思います。(送信状態とスタンバイ時とで明るさは変わっていないことと思います)

 ご参考までにプレートの色づき具合については、JF3DRI西村さんとこのこちらに「○○Wの損失」という注記とともにいろいろな例が掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

http://jf3dri.tea-nifty.com/blog/cat7543645/index.html

 さて、そこで原因として考えられるのはメータなのですが…しかし直並列の抵抗がそれなりに入ってるのに、1Aのメータをそこまで振らすことができるものなのかな…そのメータはひょっとして中古? あるいは外付けでシャント抵抗が必要なものだとか? いずれにしても、実際はそれほど流れていないように思います。あくまでも想像ですが。

 解決策としては、一番いいのは純正メータをどこかで仕入れること、それがダメなら素性の分かっているメータを、それにあわせた分流・分圧抵抗とともにセットするということになりそうです。当然その前に仮に計器を接続して計ってみるといいのですが、危険なのでお勧めできません(万一外れると残ったラインに高圧が乗ったりします)。

書いてから思いついたのですが、R1が焼け切れている可能性もありますね。

お早うございます、修正させてくださいメーターは100μAの物でした。従いましてIPの測定値は違うかもしれません、メーターを探します。それから再挑戦してみます。

なるほど100μAでしたか! それだけ高感度であれば、直列に入っている抵抗(R2)を変更するだけでいけそうですね。お使いのメータの内部抵抗は測定可能でしょうか。そこそこ精密なディジタルテスタがあれば、メータ単体でフルスケール流した時何μAで何mVかを測定することで分かるのですが。

今晩は、計測した結果100μAフルスケールで100μAでした、電圧は140mVでした。

っということは、今ちょうどフルスケール500mAとして動作していることになりますね。Ep2900Vバイアス5Vで2本で150mAなら、アイドリングとしては正常動作と言っていいのではないでしょうか。

 さてR2ですが、計算していただけるとお分かりのように8.6kΩとなりますね。もちろん実際このように接続すれば、プレート電流が1.0001A(1A+100μA)流れたときにメータが1Aと指示するわけですが、メータ側に流れる電流が充分小さいですから無視して差し支えないということで通常このように運用されています。感度の高いメータだとこの点有利ですね。

 余談ですが、この部分にフルスケール1Aのものを直接(直並列の抵抗なしで)接続するのは、もしメータが断線など故障したときのことを考えるとあまりお勧めはできません。同様の理由で、並列の抵抗(ここではR1)は充分余裕を持ったワット数のものが必要です(SB-220では5Wのものが採用されています)。一方直列の方(R2)は、ここまでの余裕を持つ必要はないと思います。

 …などと知ったようなことを書いておりますが、もし間違いなどがございましたら皆さまどうぞご指摘下さい(^^;

ご教授有難うございます。
昨日は久しぶりに無線工学の本を読みました・・・
結果 頭がさび付いていることに気がつきました。
情けないですね、ぼちぼちR1・R2の取替えを行います。
この度お世話になりました。又お空の上でも宜しくお願いしたいです。

いえいえとんでもございません。こちらこそ今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 ところでご理解いただいていることと思いますが、8.6kΩというR2の値は、R1が1Ωであることが前提ですので念のため。

 本例は単なるオームの法則の組み合わせだけなのですが、それでもとっさにいわれると「?」となってしまいますよね。それにマイクロとかミリとかが入り交じると、すぐ電卓(calc.exe)に手が伸びてしまいます(^^;

はい有難うございます。
本を見ながらぼちぼち電卓たたいて、押し間違い・・・
結構苦戦します。

今思い出したのですが、メータの端子に背中合わせに並列にしたダイオードを並列に接続しておくと、多少なりともメータの保護になります。もしまだでしたら、今回のメータとマルチメータの両方に処置しておかれることをお勧めします。機種は違いますが、実装の様子はこちらをどうぞ。

http://www.2333.net/~ji3kdh/weblog/archives/2005/10/sb1000_1.html

ありがとうございます。
ダイオードは通常の整流用ダイオードで良いのでしょうか、早速に行いたいと思います。

はい、たとえば10D10などの1000V1A以上のものならまず問題ないと思います。あまりヤワなものですと無意味ですが、その点さえ気をつければ。小生はまとめ買いで安く仕入れた1N4007(1000V1A)を好んで使っています。

はいわかりました。
先日いくらかまとめて購入いたしました。
回路的には、パラでin-out入れると???回路的に理解ができないのですが、ダイオードと計器の内部抵抗の違いで回路が成立するのでしょうか? どうも 石
は 昔から今も 苦手です HI HI

普通にダイオードの記号を考えると、背中合わせであれば短絡状態ではないかと感じるところですが、そこがミソでありまして。

 たとえば1N4007のデータシート( http://www.tnw.utwente.nl/onderwijs_overig/practica/doc/componenten/1n4007.pdf )をご覧いただくと、2ページ目の右上にForward Characteristics(順方向特性)のグラフがあります。文字通り「ダイオードに電流が流れる方向に電圧をかけたときの特性」なのですが、グラフが0.6V0.001Aから始まっていますよね? 0Vや0Aが書かれていないのではっきりとした数値は分かりませんが、少なくとも数百mV以上かけないと電流が流れはじめない(=導通しない)ということなのです。

 今回ご使用のメータは、フルスケールで140mVでしたので、このダイオードが動作し始める前でメータを動かしているということになり、正常動作中はこれらのダイオードはあってもなくても同じ、という状態になっています。

 そして何らかの現象で異常電圧がかかった時は、ダイオードが導通状態になりメータには数百mV以上かからないので保護になる、というわけなのです。

ハイわかりました。
御教授ありがとうございます。

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この記事について

このページは、ji3kdhが2006年4月27日(木) 23:54に書いた記事です。

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