TS-830 1の6


 今さら何をといわれそうですが、前から気になっていたところを少し触ってみました。(以下、長文にご注意)

 それにしても、写真がワンパターン化してますな(^^;


 まずは前回中村さん教えていただいたメラミンスポンジでの掃除。写真が良くないですが、こちらは施工前。


 施工後。なるほど、かなりきれいになりますね!


 この写真を前回のこちらと比べていただければ、より分かりやすいかも。(しかし写真がまずいですね)

 これ、言うまでもなく水分に注意するのと、研磨している状態でしょうからやり過ぎも禁物なんでしょうね。しかしこれだけきれいになると嬉しくなってしまいます。TNX INFO!>中村さん


 さていよいよ今回の本題、こちらのエリアに手を入れてみます。


 まずVFOの大QRH。以前の原因で症状が再発してまして、やっぱり根本的な対策が必要です。そもそも今どきここのFIXを使う運用なんて、まず考えられませんし。
(830ではないですがゴルゴ13の題材になったのも1977年)


 そしてこちら。VFOの電源ですらNC接点の不良で不具合が出るんやったら、アンテナからの大事な大事な受信信号をこんなとこ通しててええはずないんちゃう? しかも、当時の高級機の割に20dB一段のみというのも現実的ではありません。その20dBも、簡易型(L型)のため二次側のインピーダンスについては考慮されていません。どうせ減衰するんだから、ということなんでしょうか。

 全く定量的なデータを採ったわけではなく単に感覚だけでものを言ってるんですが、どうも受信がざわついてる感じがするのはここが悪さしてるんやないかという気がしてたんです。


 そこで、これらのように


 改造してみることにしました。


 ここに来るにはフロントパネルを外す必要があるので、


 ついでにひとっ風呂浴びていただきます。

 ところで…


 LOADツマミが固くて外れないなと引っ張っているうちに、やってしまいました(>_<)


 最初は予備機から外したものを付けてみたんですが、発熱する部品(12BY7A)の横なので、手持ちのこのようなもので修復。(ニノミヤの値札がついてましたHi)


 気を取り直して作業続行。配線が短めで、基板を引っ張り出してしまうには思ったより手間がかかります。


 加工後。

 実はFIX側、上に描いた図とは少し違います(空き接点を使ってちょっとだけ手抜き)。


 あまりきれいではありませんが、念のために引き出し線をホットメルトで留めておきました。


 (制御用の)アースは、シャーシから出ているここのポストから取りました。


 さて、アッテネータ基板の製作です。

 最初はこの時のように高周波リレー(コイルDC12V)でやろうと思ってたんですが、接点が1回路しかないので4つもリレーが必要になってしまいます。それでもまだ手持ちに余裕があるのでまぁいいんですが、いろいろと面倒に感じて他の在庫を漁ってみたらDC9Vで動く2回路のリレーが出てきたので、これを採用しました。偶然電圧が同じなのも好都合。(→実はここが地獄の一丁目)

 アースパターンのついた穴あき基板を使うのは初めてです。


 イチビってチップ抵抗も買ってきましたが、開封することもなくヤンペ(^^; あちこち漁ってみましたが、抵抗値はJARLのこちらがいいセンいってますので採用させていただきました。


 実装ですが、高周波リレーではないので、例によって型紙から銅板を切り出して


 ちょっと


 こだわって


 みました。(→ここが地獄の二丁目)


 ノイズ発生器の真横なんですが、このあたりしか手頃な場所がないので仕方なくここに取り付け。はやる気持ちを抑えつつデータ採りを。





 ところが…スルーはいいのですが両方とも減衰量が異様に大きいんです。さてここからが大変。






 ものすごく


 大きな


 遠回りを


 経て、


 結局この方々に原因があると分かりました。

 (道中にいくつも分岐点があったんですけど、要は確認不足といういつものアレ)


 どうせローバンドでしか使わんのやし、特性を取ってみてあまりにもひどかったらまた考えようと思い直し、銅板シールドはとりあえずアッテネータ側(パターン面側)だけにしておきました。

 実はリレーを囲んで接地側に半田づけした時、さっさとしたつもりでしたが樹脂の焼けるニオイがしまして、もしかしてそれで前述のリレーを悪くしてしまったかも知れず、またやらかすのも嫌なのでという意味もあります。


 そしてやっとのことで、満足行く結果が得られました。Freqはもちろん周波数、それ以外はすべてアンテナ端子からのRF入力、dBmです(uncal)。S9は文字通りS9まで振らせた時のRF入力、FIX(=6dB ATT)はFIXを押してS9まで振らせた時の入力、ATT(=12dB ATT)はATTを押した時、FIX+ATT(=18dB ATT)はFIXとATTの両方を押した時のもの、そして緑色の部分はATTなしとの差、黄色の部分は一つ前との差です(「差」ですが感覚的に分かりやすいようにマイナス表記)。

 こうやって見てみると、ほぼ思い通りのものになっていますしバンド間の減衰量の差も皆無と言っていいと思いますので、リレーを銅板で囲むのはやめにしました。

 それにしても…純然たる感度差が大きいですね。単にSメータの指示だけでの比較ですから、あんまり意味はないかも知れませんが。


 以下、どうでも良い写真。

 まずはS9の受信入力。


 その状態でFIX(=6dB ATT)を押したところ。もちろん、もはやこのスイッチに本来の『FIX』の機能はありません。


 S9の状態でRF ATT(=12dB ATT)を押したところ。


 両方のスイッチを押した(=18dB ATT)ところ。

 さらっと検索してみたところ、さすがにこんな改造している例は(ネット上では)見つけられませんでした(FIXを殺してVFOのみにしてしまうだけならありましたが)。

 これでスルーの時も若干静かになったような気もしますが、ちゃんとしたアンテナをつないでみないことには分かりません。完全な自己満足の世界ですね(^^; あ、もちろん大QRHは解消されました。

コメント(7)

いや〜すごいですね。
メカSWの信頼性が機器全体の寿命や性能劣化を決めている点にグサッとメスを入れた感じでしょうか。
これだけの保守メンテ、改造ができる技術力と気力に脱帽です。

いやいや、そんな大層なもんやないですって。技術力なんて全然必要なし。しかもたったこれだけのことに回り道しすぎで。そして気力…いちばんいったのは記事にまとめる気力かな(^^;;;

 冗談は別として、リレーにしたっていずれはNC接点の不良に至るでしょうし、どこで妥協するかでしょうね。

>>ついでにひとっ風呂浴びていただきます。

ツマミは純水か洗剤であらうのでしょうか?

メラニンスポンジ大変ためになりました。

TS-830 は一瞬だけ使ったことがあります。えぇ機械やなぁ、という印象でした。

でも、よる年波には勝てないのですね。

JH7MWEさん:初めまして。皆さんはどうしていらっしゃるんでしょうね。マジックリンと歯ブラシで納得いくまで洗ってから、水(普通の水道水)でしっかり洗い流しました。

 石井さん:さすがにシビアな局面ではもはや出番はありませんね。ただ、自分にとって触ってて楽しい無線機ですので、簡単に引退させられないのがつらいですね。(こうやってガラクタが増えていく…(^^; )

私はツマミのメッキ部分もシツコイ汚れは水を含んだメラニンでゴシゴシです。
他人の無線機でも汚れを見ると磨きたくなります。
画像見てすっきりしました。

再びありがとうございます。思っていたより元々の色が復活したのでビックリ、確かにハマりそうですね。樹脂や塗装部分など傷がついて困るような部分に気をつけてGO!

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この記事について

このページは、ji3kdhが2013年5月 1日(水) 5:30に書いた記事です。

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