TS-180 1の1

 一部ではTS-120の後継機という書き方をされていますが、自分的にはそうではなくて全くの異端児だと思っているこの機種、ぜひとも触ってみたいとかねがね思ってたんですがようやくゲットする機会に恵まれました。


 ところがこれがえらいシロモノだったようで、まず銘板が外されている! それにTS-180Sとフロントパネルにあるのに100Wユニットがない! そこまではまだなんとか許せますが、


 怪しからんのはこちら、なんとこの機種の最大の特徴であり、ぜひとも触ってみたかったメモリユニットが抜き取られています!! あ〜ぁ


 それだけでなく、中身をだいぶいじくられているらしき形跡もあります。たとえばここの部分、ビスの頭がちぎれてしまっています。他にもビスがないところやコアを回したくった跡があったりします。

 おまけに「一応動いている」とのことだったにも関わらず到着時は受信・送信とも全く動かず、周波数表示も場所によって「......」になったりしてます。


 一度はこれだけでもう全くやる気が失せてしまったんですが、せっかく入手したんやし動くようにして音を聞いてみるのも悪くないなと気を取り直しまして、まずは変な端切れで適当ないい加減な仕事をされていたメータ押さえの板を、手持ちのアルミ板でそれなりに加工し、


 純正とはほど遠いであろう固定の仕方をされていたメータ照明(すぐに球切れしてしまった)を、LEDに変更しました。ただし手頃なホルダがなかったので例によってホットボンドで留めてあります。これならいざという時にむしり取ることができますので。


 あとは根気よく順番に当たっていって修理です。結論から言うと受信・送信ともほぼIFユニットの接触不良と再調整、カウンタについてはPLLユニットの接触不良とカウンタユニットの再調整でほぼ直りました。

 送信については最初動き出したあともちょっと不可解な動きをしていてしばらく悩んだんですが、ただ単にサービスマニュアルを追うだけでなくちゃんと回路図を検討しろという教訓を得るとともに、無事解決しました(IFユニット上の半固定抵抗の不良でした)。

 この個体、「KENWOOD」と書かれているようにどうも海外版のようで、本来ならFILTERとなっているはずのスイッチがNBとなっています。まぁSSBに興味はないのでいいのですが、そういうバージョン違いもあるということすら全く知りませんでした。


 ところでメモリユニットがない場合、本来ならブランク基板があるはずなんですがそれすらないので、ちょっとミスマッチですがブランク基板上にあるはずの終端抵抗を差し込んでおきました。これはちゃんと基板を作って、抵抗値もあわせておく必要がありそうですが、まあ取り急ぎないよりはこの方がマシでしょう。


 受信音については、想像してた通りTS-520や820と同じような感じですね。ただSメータはちょっと軽い目かな? 真面目に合わせ込んだつもりなのですが、ひょっとしたらどこかで間違っているのかも知れません。それとこの機種独特の「RGC」は面白いですね。一言でいえばAGCのRF版で、ATTも抵抗アレイではなくここをマニュアルでONするという形になっていてユニークです。あと気になったのは、受信時のスプリアスが多いかなというところ。送信についてはパワーがちゃんと出ることしか見てませんが、ALCメータの振れ方が変ですね。これはこの個体の故障かな? 100Wユニットが抜き取られていることと関連がありそう(正規の配線のはずなのにIcも振らない)なのですが、よく分かりません。

 いずれにしても…今となってはさすがにゆっくりした国内QSO程度しか使い道はなさそう。820をずいぶん前に処分した自分としては、本機もそう遠くないうちに…

 6/16早朝追記:室内アンテナでAACWを聞いてますが、ダイアルのアナログスケール部分のズレが気になりますね。30kHzで2kHzもずれる…TS-130ではこれほどずれてなかったように思うんですが、これは仕方ないことなんでしょうか…ギヤの歯数を増やすわけにもいきませんし。

 さらに追記:→と思って見直してみたら、130も830もアナログ側はこんなに細かいところまで書いてなくて、kHz単位については目盛りのないリング部分に逃げています。ちなみにそのリングでも、手元の830では30kHzで1.5kHzずれてます。つまり、これは仕方ないことなんだと一人納得しました。特に何の差し支えもありませんし、ね。

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このページは、ji3kdhが2013年6月14日(金) 21:25に書いた記事です。

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