荷物削減作戦

 の写真はこの時の再掲。

 (以下、そこそこ長文です)


 この手の手抜き運用の時、効率を考えてできるだけ給電点の近くにアンテナチューナを置こうとする(上の写真では白い箱の中)んですが、いつもこれ用の電源コードが余分というか面倒というか、何とか出来ればなと常々考えておりました。

 上の写真でも、線が2本あるのがご覧いただけると思います。


 ぱっと思いつくのは同軸ケーブルへの電源重畳なんですが、勉強不足・経験不足でしてコンデンサはまだしもコイルの大きさがよく分かりません。どこかに参考になる資料はないかと探していたら…予想外にも同じチューナメーカさんの別機種向け、要するに公式に発表されたものが見つかりました。左はその該当部分の抜粋です。

 しかしこれ…Lはまだしも、こんな大きなCが必要? 相当安全サイドに振ってるような。もちろん電流的な容量は必要なので、その意味での記述なのかも知れませんが。


 それはともかく、これをどうやって実装するか思案。まさか無線機に内蔵するほどのスペースもなく、かといって安易に別箱を中継ケーブルでつなぐのは、どうも芸がない感じ。この時みたいな直接プラグ形状になったMコネがあればスマートでいいんですが、さらっと探してみたところNと違って市販にはなさそう。

 なんかいい方法ないかなと思いながらネットをさまよってたら…たまたま写真のような『破損品』が格安で出品されてるのを発見。さすがにこのようなものだからでしょう、競合することもなく無事ゲット。


 ちょっと小さいかな…でも、せっかくですから頑張ってこれでいってみましょう。


 部品を撤去するのに基板の部品面にもアクセスする必要があるんですが、この状態にするのは(予想外に)かなり面倒でした。なにしろ破損してない方のコネクタを外すのが固かった…


 その後をさらっと省略し、このように組んでみました。
 Lはこの時の残骸(何かの時にちょっとほどいたもの、約64μH)、Cはこの時以来気に入って使っている物。ここのCはせめて二つは使いたかったんですが、スペース的に収まりませんので一つだけ。まぁ100Wまででしたら大きな問題にはならないでしょう。

 ちなみに、Cを指定より小さくしたことで変な箇所にホールができてたりしたら嫌なので、さらっと共振周波数を計算してみましたら…266.3kHzと出ましたので、この点でも(机上では)問題なさそうです。

 あと電源入力にピンプラグを選択したのは、手持ちの都合とK3の+12V出力端子がピンジャックだったことによるもので、単なる思いつきでしかありません。


 おまけ。パスコンはまだしも、この時にまとめ買いしてあったヒューズも入れてみましたが…よけいなことしない方が良かったかな? (^^; (ちなみに本チューナの電源入力には750mAと記載あり)

 無線機側はこれでいったん動作確認待ちとし、


 チューナ側。こっちは内蔵できるだろうと取り出しましたところ…雨よけの箱から出した段階で、なにやら不吉な(香ばしい)香りが。

 撤収時には気づかなかったんですが、ご覧の通り。右はフタの裏側なんですが、うっすら焦げ痕まで残ってます。


 結構派手に燃えてますねぇ〜 隣の大きい方も、焼けてませんが過熱したらしい形跡があります。エレメント長より低いバンドで無理でもしたかな?

 大きい方は見なかったことにするにしても、


 完全に焼けた方はさすがにこのままではダメでしょうねぇ。


 色と大きさからT-80-2だと思うのですが、手持ちにありませんのでとりあえず焼けたトロイダルに巻き直し。T-80-2という推測が合ってるとしたら、簡易な測定ではインダクタンスが半分以下になってます。

 そうそう、今回のような偏った巻き方があちらの製品で散見されますが、トロ活で『まんべんなく巻かないとトロイダルの意味がない』と教わりましたので、できるだけそのように巻くことにしてます。


 そのコイルで仮復旧し、


 必要な回路を空中配線で挿入。

 こちらのLは、いつのものか不明です(この時かな?)がFT50-43に巻いたもの(53μH)があったのでそれを利用。Cはいくつでも良かったんですが一応無線機側と同じものを二つ。(これで計算上の共振周波数は206.6kHz)


 はやる気持ちを抑えつつ、長め(とりあえず3m)の中継ケーブルを通してダミー相手に試し打ちしてみたところ…


 回り込みや電源喪失などもなく、なかなかうまくいっているような感じ。アンテナがつなげない(自宅ではTS-50で免許を受けてない)ので、これ以上テストできませんがまぁいいでしょう。


 無事動作するらしいことが確認できたので、移動中に外れたりしないよう(いつも通りの)ホットボンドで大物を固定しておきます。


 こちらも。

 向こうには無事届いたトロイダルで巻き直したコイルもぼんやりと写っていますが、もちろんそれも同様に固定します。ホットボンドはオリジナルの樹脂のものほど固くありませんが、目的からすればまぁいいでしょう。


 順序が前後しますが、簡単な回路なのでと油断せず


 両方のフタに漫画を描いておきました。

 あとは電源供給…実はテスト中、ピンプラグにはミノムシクリップで給電してたんですが、さすがに実運用でそんなわけにはいきません。大元のスイッチング電源から直接引いてもたかが知れてるとはいうものの、せっかくここまでしてそれではスマートさに欠けますよねぇ


 無線機のフタを開け、このあたりから分岐して端子出しせないかんのかな、面倒やなと思いつつ…


 待てよ、アンテナチューナ用の端子に電源出てないか? と気づいて調べてみたら、それらしいのがあるではないですか。でも 14S のSってなんや? 送信中(14T)や受信中(14R)ではなさそうやし…


 ははーん、なるほどSwitched(電源スイッチと連動)か! って気づくのが遅いんですけど(^^; ともあれ、ここには専用のヒューズ(4A)も入ってるようですし、使わない手はなさそう。

 ただ…ここに合うプラグの規格が皆目分かりません。ネットで調べてみても、検索の仕方が悪いのか今ひとつ確たる情報に出会えない。向こうのeBayでは一個12USDとかであるみたいですが、さすがにナイロンコネクタ一個でそれは高いでしょ。かといって、これだけのためにわざわざAT-50(TS-50用純正チューナ)を入手するってのも面白くないし。

 どうしたものかと半ば諦め気味になおもネットをさまよってたら…某ークションでそれらしいものが出品されているのを発見。写真が見づらくサイズも不明ながら、ダメだったとしても諦められる価格だったので入札し、無事ゲット。


 お陰さまで思ってたより早く届きましたが…さてどうでしょう。


 おぉー、ビンゴっ!! これは嬉しいですねぇ


 とまぁ内容の割には長い道のりを経て、ようやく標題の目的を果たすことができました。


 結果的には電源用のピンプラグ・ジャックを割愛すればもっとスマートになりますが、現状でもそれほどかさばるわけではありませんし、いずれまたK3が登場するときにも利用できますんで、このままにしておくことにします。
 というわけでして、ここまで長文へのおつきあい、ありがとうございました。

 ところで今回の「TS-50のアンテナチューナ端子に接続できるプラグ」、ご覧の通り在庫が複数ございます。TS-50のCAT用プラグコードの件も含め、ご入り用の方はどうぞ私信をいただければ。

コメント(10)

どうもです。
FBですね。このDC-RF分離回路と電線の重さ、体積を比較すると分離回路の方が勝ち〜という事ですね。
LC回路特性に変なポールがないか気になりますよね。幸いうまく行ったようで良かったです。
ボクは少し前にネットアナを仕入れまして、こんな時とっても便利です。昔はうん百万円出さないと入手できなかった代物ですがアマチュアでも手の届く範囲に来ています。
性能はよく知りませんがnanoVNAとうのが5k強で出てます、DRIさんがレポートされてます。
これがあると世界が広がると思います。
ちなみに僕が使ってるのはVNWA3ECというのでちょっと割高です。ご参考まで。

実はこれで削減した分をただ単に減らすのではなく、同軸を今までの倍の長さ分持参できる、というのが狙いでして。

 なるほど、こういう時こそ流行のVNAですね?! そもそも具体的な使い道すらよく分かってないので、あの安いものすら手を出せずにいたりして…(^^; しかしすごいですよね、ああいうのを開発できる方って。根本は発想力なんでしょうけど、ただただ素晴らしいですし、あの価格帯でしたらさすがに自分も一台、と思ってしまいます。
 あ、大前さんお使いのも検索させていただきました。確か少し前に流行ってたやつですね? 素晴らしいです。

そっか〜、同軸を長いのに・・・その方がメリットが大きそうです。

VNAはSDRの技術と同じと思いますがデジタル信号処理の知識(アルゴリズム)が必要なんだと思いますが、ボクにはチンプンカンプンです。

そそ、ちょっと前(7〜8年ぐらい前?)に流行ってたやつの改良版です。

実は似たようなのにGigaStなるもの(PC上のスペアナ)を入手してたんですが、結局一度も通電しないまま現在に至っておりまして(^^; なのでVNAにしても、自分には宝の持ち腐れになってしまいそうで近寄らずにいてました。でも、あったらあったで面白いんでしょうね…(いかんいかん)

私がW7で買ってきたやつと同じになりましたねHi

うちのマニュアルにも同じBias-Tの絵がありました。

こちらのはPEP600Wとのことでデジタルモード100Wでも連続で使えているようです。

同軸一本てのがいいですね。

nanoVNAはもともと北海道の方が開発されてたやつですよね

少数の頒布はあったのですが参加しそびれてました

GitHubにも公開されてたんですが、今流行ってるやつはBY方面で製品化しちゃってますね、こういうの問題がないのかどうか..手元にziVNAuもあってあまり活用できてないし、ちょっと考え中です

なんか遠い既視感があるような気がしてたんですが、そうでしたYamadaさんが大きいのを現地調達(?)なさってましたね。600Wタイプだと安心できそう…こちらのは一応公称200Wなんですが、100WのCWでも一部が焼けてしまいました。まぁ無理してたということなんでしょう。

 そう、VNAをゲットなさってたのは覚えてました。ただあんまり記事には登場してないようですので、あんまり必要となるシーンがないのかな、と勝手に想像しております。
 あれ、どうなんでしょうね。開発という意味では大問題なんでしょうけど、パテントとか取ってなかったらやりたい放題? とはいえ、結構面白そうなのでこちらも思案中だったりして(^^;

VNAが記事に登場しないというよりもそういった作業をまったくやってないのが大問題でして、いろんな方にご迷惑をおかけしてまして心苦しい次第です。
大前さんがおっしゃるとおりVNAが手元にあるなんてのは夢のような話なんですが入手しちゃうと安心してしまうのかそこにあるのを見てニマーっとする心強さはありますHi
大前さんのは高性能ですよねー

こんばんは、yamadaさんもお持ちでしたか!!
どの機種がどれほどの性能を持ってるのか良くわかってないんですが、ボクが持ってるのは企業が研修用にも使ってるらしく、それならハズレはないだろうな。程度の認識です。色んな使い方があるようですが、せいぜいインピーダンス測定と伝達特性を測るぐらいですかね。

大前さんどうも!
私の持っているやつよりもDG8SAQのほうが測定範囲もダイナミックレンジも広かったと思います、ま、私には今ので十分なんですが..
キャリブレとったりスキャンしたりの時間、手間があるのでついついスペアナ&リターンロスブリッジに走ってしまいます。

しばらく夜討ち朝駆けが続いた関係で放置状態となっており、スミマセン。

 Yamadaさん : お忙しそうですもんねぇ〜 まぁボチボチまいりましょう。入手してしまうと一安心ってのは僕もよくありまして、というかある意味それメインになってるかも(^^;;

 大前さん : アマチュアだけでなく研修用とはいえプロも使ってるんですね。うーん、なかなか…

コメントする

この記事について

このページは、ji3kdhが2019年11月10日(日) 20:10に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「S-360-12」です。

次の記事は「Aspire 1830 2の2」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。